グッドデザイン・ロングライフデザイン賞
2014年度のグッドデザイン賞にて、『ロングライフデザイン賞』を受賞しました。
左から、
大タンブラー薄底磨・中タンブラー薄底磨・小タンブラー薄底磨
天開サンピン薄底磨・サンピン薄底磨
10月31日(金)からは、「ロングライフデザイン賞」の受賞展、
『ロングライフデザインエキシビション2014(G展)』も始まります。
会期:2014年10月31日(金)~11月3日(月祝)
時間: 11:00~20:00
会場:渋谷ヒカリエ8F「8 /」他
1950年代、割烹料亭や旅館からの要望を受けて木村硝子店の2代目・木村信行が作り、
今に至るまで販売し続けている商品です。
ちなみにこの商品を元に現在の社長・木村武史によって作られたものが、
コンパクトシリーズです。
今の形にリサイズし、ブラッシュアップしたグラスシリーズとなっています。
とっても普通で、フォルムからはちょっと懐かしさを感じるこちらのグラスたち。
商品名の響きは聞いただけだと何だか不思議に思った記憶があります。
大タンブラーや中タンブラーは、うんうん大中小のサイズだな、とわかるけれども、
「ウスゾコミガキ?」「サンピン?」「テンカイサンピン?」
まずは5つのグラスの名前全てに付いています、”薄底磨(うすぞこみがき)”とは…
硝子業界ではよく”磨く”という言葉を使います。
これは”研磨する”という意味で、
今回のように底を磨いたり、口元を磨いたり、切子を入れる際にも”磨く”は登場します。
要は5つ全て、グラスが出来上がったあとに底面を研磨する一手間を加えています。
薄いグラスで底面を磨いているから”薄底磨”というわけです。
どうして一手間加えて、底面を研磨しているのでしょう?
今でこそ、コンパクトシリーズなどは薄くほぼ全体が均一な厚みで作ることができていますが、昔はどうやら底部分までキレイに薄くすることが難しかったようです。
それは技術的な面の他にも、作り方の違いなども関係していたと思われます。
底の厚みの偏りを解消したり、薄くしたり、底面を美しく見せるために、研磨をしていたんですね。
下の写真は、”磨いた底”と”磨いていない底”。左が磨いてあります。
底の縁がくっきりと見えているのが磨いてある証拠です。
写真だとちょっとわかりづらいかもしれません…
ではサンピンとは?
現在でも硝子工場では『細三寸』と呼ばれていて、昔から使い続けている箱に押すハンコも『細三寸』となっています。
おそらく当時の商品名、または呼び名が『細三寸』となっていて、細身の三寸グラスだったことからこの名前で読んでいたんだと思います。
一寸=30.303mm(曲尺による寸)
サンピン薄底磨の高さは90mm。ちょうど三寸になります。
サンピンの”サン”は三。”ピン”はピッタリから来ていて、ピッタリ三寸!で”サンピン”、ではないかとは現社長。しかしうーんあいまいだなあとの事で、今となっては”サンピン”の名前の由来を知っている人間が会社にいません。
不思議な響き「テンカイサンピン」は「天開サンピン」。
口元(天)がひらいている(開)サンピンなので天開(てんかい)サンピンです。
聞いてみたらなあんだそのまんまですね。
GOOD DESIGN AWARD http://www.g-mark.org
紹介ページ http://www.g-mark.org/award/describe/41975
グッドデザイン賞受賞展 http://www.g-mark.org/gde/2014/index.html