お屠蘇(おとそ)について

無病長寿を願ってお正月にいただく、生薬を漬け込んだ特別な祝い酒のことです。

お屠蘇の歴史は古く、唐代の中国で行われていた厄除けの儀式が、平安時代に日本の貴族へ伝わったのがはじまりとされています。江戸時代には庶民の間にも広まり、いまのような“年迎えの習わし”として定着しました。語源にはいくつか説がありますが、「悪いものを祓い、良いものを招く」という願いが込められている点はどれも同じです。

お屠蘇の作り方

・屠蘇散
・日本酒 …味や香りの個性が少ないものがおすすめ
・本みりん …調理用のものには塩が含まれている為、本みりんを使用

(1) 日本酒とみりんを合わせて、2合(360cc)程度になるようにします。割合はお好みですが、みりんが多いと甘口になります。
(2) 屠蘇散を入れて、7〜8時間ほど漬け込みます。
(3) 屠蘇散を取り出して完成。

屠蘇散は年末年始の時期になるとスーパーやドラッグストアなどで手に入ります。生薬の内容は5〜10種類程あり、主なものに下記があります。

白朮(ビャクジュツ)
オケラの根。胃腸を助け体の湿気をさばく。
山椒(サンショウ)
山椒の実。胃を刺激して食欲を促し体を温める。
浜防風(ハマボウフウ)
海辺の植物。風邪の入り口を防ぎ巡りを整える。
桔梗(キキョウ)
桔梗の根。喉の不調を和らげ痰を切れやすくする。
桂皮(ケイヒ)
シナモン。体を温め血の巡りを助ける。
丁子(チョウジ)
クローブ。胃腸を整え体を温める。
陳皮(チンピ)
みかんの皮。整腸や血行促進など。

お屠蘇を飲む際の作法

元旦のおせちをいただく前に飲むのがよいとされています。

(1) 年明け最初の水で手を洗い、身を清める。
(2) 神棚や仏壇を拝む。
(3) 家族で新年の挨拶を交わす。
(4) 東の方角を向き、左から年長者、右に向かって年少者の順に並ぶ。
(5) 飲む順番は、年少者から年長者へ。
(6) 三つ重ねの盃を使い、小さい盃から順に一杯ずつ三度に分けて飲む。

飲む際には「一人これ飲めば一家苦しみなく、一家これ飲めば一里病なし」と唱え、無病長寿を願いながらいただくのが正式な作法とされています。

また、厄年の人は年齢にかかわらず最後に飲む決まりがあり、家族から厄払いの力を分けてもらうという意味が込められています。

お屠蘇に使う道具

お屠蘇には「屠蘇器(とそき)」と呼ばれる専用の器があります。盃は家族で順番に回して使うため、一家に一式あれば十分です。正式なセットは次のとおりです。

屠蘇台(とそだい)
盃台(さかずきだい)
盃(さかずき)
銚子(ちょうし)
銚子飾り(ちょうしかざり)

木村硝子店の〈オトソ〉シリーズは、この伝統的な形をもとに、現代の暮らしに合うようシンプルに仕立てています。三つの盃は美しく重なり、2合の徳利にはそのまま収納できるデザイン。棚に置いたときの佇まいもすっきり整うように仕上げました。

オトソ トックリ 2合

オトソ トックリ 1合

お正月の準備は地域ごと、家庭ごとに少しずつ形が違いますが、そのゆるやかな幅も含めてお屠蘇の魅力です。きっちり決まった“正解”があるわけではなく、気持ちよく一年を迎えるための小さなおまじないのようなもの。自分のペースでお屠蘇の香りや時間を楽しんでみてください。