ボクの独り言 #04
木村硝子店3代目社長である木村武史が、思ったこと、考えたことをぽつぽつ呟きます。
聞き手・吉田佳代
木村 武史(きむら たけし)
1943年東京生まれ。木村硝子店3代目社長。
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僕の習慣、相手のテンポ
挨拶は大切だと思う。でも、かといって会社で、「毎朝、おはようと挨拶し合いましょう」なんて提案したことはないし、相手に求めたこともない。単純に僕自身の習慣に過ぎなくて、朝はおはようだから、誰にでも挨拶しているに過ぎない。
そういえば、数年間全く挨拶を返さなかった社員がいて、その人のことは印象に残っている。僕は毎朝、気にせずその人におはようございますと言い続けていた。相手は、ニヤッとはするんだけど、挨拶はしないの。
でも、それがはじめて、「おはようございます」って返してきた。3年くらい経った頃かな。もともとその人には、習慣がなかっただけなのだろうと感じている。ニヤッと笑顔を返していたということは、気持ちはあったんでしょうね。
うまく説明できないのだけれど、社員のみなさんとの言葉の交わし方についても、同じように捉えているような気がします。
「僕が聞いているんだから答えてよ」みたいなことでは決してなくて。
「何かいいたいことがあったらきいてね」と伝えるとか、「あなたの今の話、それちょっとわかんないかも」と感じたときは、家に持ち帰って考えて、僕なりの言葉を返そうと試みてみるとか。
うまくいかないことも多いんだけど、そんなふうにやりとりできたらなと思っていたりしますね。
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吉田 佳代(よしだ かよ)
フリー編集者、ライター。
東京生まれ、立教大学卒業。
出版社勤務を経て、2005年に独立。食からつながる文化や暮らし回りを主に扱う。書籍や雑誌、広報誌などの編集のほか、インタビュー取材も多い。