木村硝子店のグラスと私の日常 /080
東京で暮らしはじめた20代の初めに浅草の路地裏のお店で手に入れたコップ。
薄く軽い浮遊感と、カットの手触りが心地よく、これで毎朝オレンジジュースを飲んだらさぞおいしかろう、と思ったことを覚えています。
木勝シリーズはさまざま種類があってその時も迷いましたが、最初に選んだこの山型のカットが今でも一番お気に入りです。祖母の絣の着物の柄や、京都の町屋の古い電灯の傘の磨りガラス、沖縄のやちむんのヒージャー柄、いろんな場面で似た模様を見つけて目が追います。
木勝はとおい記憶のスイッチを入れてくれるグラスです。
text:高木しらべ(工藝風向)
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