木村硝子店のグラスと私の日常 /073
グラスで水を飲む時。グラスに水を注ぎ、口に運ぶ。飲み終えて用を成したら、洗って拭き、片づける。グラスは元のように透明な存在になる。
醤油さしはどうか。多くの場面において、醤油が減って注ぎ足され、注ぎ口が詰まってようやく洗われる。
人生、積み残しの宿題は少ないに越したことはない（と思う）。溜まっていること、なんとなく澱んでいることから目を背けず、できるだけ早い内に解消したい。醤油さしの中身など、暮らしの中の取るに足らない些細な一部かもしれないが、その些細な一部に潜在的な澱みが生じにくい仕組みを作ることで、他の些細なこと、もう少し事態が複雑化していることと向き合う姿勢に波及していき、ひいては暮らしの本流が滞りなく流れていくことに繋がってくれたらいい。
必要な時に必要な量を入れる。軌道が見えて適量をかけられる。食事を終えて用を成したら、洗って拭き、片づける。元のように透明な存在で、空間にあってほしい。
text：桶田 千夏子（ デザイナー / Luft・Luft shop 運営 ）
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