木村硝子店のグラスと私の日常 /060
2013年に木村社長が制作されてすぐ、お勧めされ手にし。
すっかり魅せられ、私たちの酒場の大切な要素となっているグラス。
ワインの試飲会も、このグラス持参で参加する。
ワインの判断基準軸となる相棒だ。
約80gという軽やかさはグラスを持った時に液体の重さしか感じさせないほどの繊細さ。飾りすぎず、愛嬌ある形は食卓の風景をチャーミングなものにしてくれる。ペティアンでも、生き生きとした白も、セクシーな赤も。万能に魅力を発揮する。
2013年に土壌微生物学者の世界的権威である博士が来日され、講演会に参加させて頂く僥倖を得た。そのクロード・ブルギニョン博士曰く「土壌(テロワール)は楽譜であり、葡萄の樹は楽器だ。畑に立つ生産者は演奏家である。」葡萄畑を、音楽を生む光景になぞらえるエスプリに膝を打つ。
ならば音楽に見立てて感じてみる、私たちも酒場の風景を。
サヴァ・グラスの音符が、空間を音楽的に満たしてゆく。
織りなすリズム、聴覚ではなく、視覚的なリズム。
カウンターで、テーブルで。
ヴィニョロンの奏でる音楽に聴き惚れる愉楽。
text:小島 麻貴二(ワイン食堂 margo 給仕)