木村硝子店のグラスと私の日常/0101

ピッコロ 15ozワイン

晩酌が好きだ。
なにを呑もうか。なにと呑もうか。
気もそぞろに帰ると、このグラスに今夜の一杯目を注ぐ。
ワインを注げば、どこか外食気分にいざなわれ、
ビールを注げば、なみなみと入った姿に悦に入る。
呑めないときには炭酸水にレモンの輪切りを浮かべて、レモンサワー風情を満喫したこともある。

このグラス、短めの脚があるのもミソかもしれない。
太すぎず細すぎず、高すぎず、手になじむ。
手になじむ─それはうつわに気を許せるということ。
盃を傾けながら、知らず知らずのうちに
心の雑味をもなだめているのかもしれない。
やさしいお値段なのもありがたい。

そんなこんなで、10年以上は使っているだろうか。
お気に入りを通り越して、毎日の相棒みたいになっている。

 

text:柏田 花(編集者・白船社代表)
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