木村硝子店のグラスと私の日常 /007

天開サンピン 薄底磨

天開サンピン 薄底磨

子どもの頃、遊びに来た友達が「コップ小さーい!」と驚いていたな。
夏なんて麦茶をグビグビ飲むには小さすぎる。氷を入れたら液体はほんの少し。でもなぜか我が家の「コップ」はこれに決まっていて、目覚めの水から、晩酌のビール、ワインのチェイサーのお水、、、と、うちで過ごして口をつけない日はない。

果物を贅沢に搾ったフレッシュジュース、昔は大瓶、今は缶から注がれるビール、洗い物がやや雑な母はけっこう割る、お盆に差し出されたこのグラスで薬を飲む晩年の小さくなった祖母、パソコンの隣の炭酸水…

背丈は10cmくらい、小さな子供の手でもつかみやすいボディ、リムがわずかに開いた形。小ぶりなグラスにうちの記憶が流れる。

text:神田 賀子(料理家)

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