木村硝子店のグラスと私の日常 /026

サヴァ 22ozワイン

サヴァ 22ozワイン

魅力的なワインを、形のイメージでなぞらえるならば「球体」と言われる。
色、香り、味わいのハーモニーも、調和がとれて立体的にあらわれる。
角も、とげも、ひずみもなく身体に染みこんでゆく。

なるほど、究極の球体。
うつくしいワインの醸し出す印象は、ウォルター・デ・マリアの抽象彫刻のように目前に現れるという。

サヴァ・シリーズの手にした時に感じる究極の繊細さ。
これは、はっとさせられる程に感覚に訴えます。

このグラスでワインのスワリングをしていると、グラスの中に大きな「球体」が現れるような幻想を持つ事が出来る。100グラムにも満たない華奢なガラスの器で、ワインの球体をつくる。この球体に「ガラス」が醸す詩的なイメージを重ね見るのは如何であろう。

例えば、思春期の繊細さ。もろさ。はかなさ。純粋さ。かがやき。

「ガラス」に秘められたメッセージがワインで弛緩した身体に立ち上ってくる。
詩的なワインの愉楽。
酒場での会話が自ずと親密になるのは、ガラスのおかげかも知れない。

text:小島 麻貴二(ワイン食堂 margo 給仕)

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