木村硝子店のグラスと私の日常/030
日常的にワインなんか飲まない(飲めない)我が家にあって、ステムのあるグラスというのはちょっと照れくさい存在である。だからたとえアルコールじゃなくたってステムのあるグラスに飲み物を注ぐだけで、どこか余所行き感のあるウキウキした気分になる。
高級なワインが似合いそうな繊細でエレガントなグラスがあってもウチでは猫に小判というもの。さりげなく、上品で控えめな感じのものがないかと探していたら耳よりな情報が届いた。当代随一の人気ガラス作家・辻和美さんと「グラスのことならここに聞け」と業界で絶対の信頼を誇る木村硝子店がタッグを組んでグラスを作ったという。しかもそのラインナップにステム付きのグラスがあるというではないか!
フランスの古いビストログラスのような気取りのないデザインだが、ただシンプルというだけでない。そこはかとない凛々しさが漂っているのだ。よし、我が家のステムグラスはこれに決めた!
text:大熊 健郎(CLASKA Gallery&Shop "DO"ディレクター)