木村硝子店のグラスと私の日常/034
「ほんの少し優しいグラス」
相手の立場になって考えて、なんて小さな頃よく言われたものだが、それは食材や飲み物にも通じる部分がある。
違うものが交わるには少しだけ優しさが必要だと思う。
ビールとグラスも例外ではないのだ。
気が置けない飲み物ではあるが実は繊細な一面があって、少し乱暴に扱うと泡だらけになってしまう、意外と気難しいビール。
キッチッとした立ち上がりとは裏腹に、角のない底に優しさが"サンサシリーズ"にはある。
ウォータースライダーに子供を送り出すような、グラスに注がれる液体はぶつかる角がない気持ちが良い状態。
角という障害が取り除かれた液体は自由自在。
気の向くまま、ビールは勿論、ウイスキーソーダ、麦茶なんかもいい。
もっと自由にスープや果物を入れる器にしたって良いのだ。
使う人の気持に角を立てずに受け入れてくれる。