木村硝子店のグラスと私の日常/040
見るからに変わったグラスである。
クープ型にしては膨らみが大きく、ブランデーグラスのように見えるが何か違う。
このグラスは何に使うのが一番いいのだろうか、という疑問がまず浮かぶ。
そこで考えたのが香りを感じてもらいたいアルコール度数が14度以下のショートカクテルである。かねてからショートカクテルで軽くスワリングして香りを感じてもらいたいなと思っていた。そのためにこのグラスの形状は最適である。
Memento moriで提供しているカクテルでFraisier（フレジェ）というカクテルで使っている。カカオ、ドライフルーツで香りを付けた赤ワインをベースに、薔薇のウォッカ、アンリ・ジローのラタフィアなどを使っている。苺を使っていないが、熟した苺のような香りがする。ワイングラスで飲んでもらうほど仰々しくしたくなく、カクテルグラスで出すには香りが楽しめない。
まさしくこのエイサ009が最適である。
時々グラスの中で液体を回すと香りがふわっとあがり、Fraiseier（苺のショートケーキのフランス語）を思い出す。
text : 南雲 主于三（Spirits＆Sharing.inc CEO）
