木村硝子店のグラスと私の日常/042
その名前と裏腹にセクシーなフォルムをしている。
長い脚に綺麗な曲線が、クープグラスの所以である女性を思わせる。このグラスはマンハッタンには欠かせない。
丸く内側に反った形状はカクテルの甘さを的確に舌に伝えてくれる。容量もちょうどいい。カクテルはおおよそ60~70ccで作り、加水が15cc前後ある。総量75cc前後を入れて液体と空いているスペースのバランスが非常にいいのである。
あともう一つお薦めはエスプレッソマティーニである。
エスプレッソマティーニはエスプレッソとウォッカをシェイクして作るマティーニのアレンジで、表面に作られる泡の層がきれいな方が美味しく見える。このグラスの口径と総量がまさにぴったりなのである。
ちょうどいい層の厚さがあり、淵にぴったりに仕上がる。カクテルは美味しく魅せないといけない。そして実際に美味しい口当たりを実現しないといけない。その双方を兼ね備えているのがこのグラスなのである。
text : 南雲 主于三(Spirits&Sharing.inc CEO)