木村硝子店のグラスと私の日常/053
クープはジェームス・ボンドが映画の中でシャンパンを飲むカッコ良い大人のグラスだと思っていました。
ふとした時に赤ワイン、この時はブルゴーニュのピノノワール、を飲んだらあら不思議、とってもワインの味を感じる事ができたんです。
グラスの縁が広がっているため香りは取れないし、よくソムリエさんがグラスをクルクルと回すスワリングもできません。でもワインを口に持っていくとき、液面が顔に近づくにつれて妙に集中をするんです。
僕とワインの一対一。そのまま口に含むとワインが持っている情報を次々と教えてくれる。それ以来というもの「もっと知りたい」というワインに出会った時にはこのクープを使っています。
僕にとっては最高のテイスティンググラスです。
text : 大瀧 忍(ワインインポーター/株式会社ラフィネ)
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