連載:おおたきワイン <白ワインの基本編>

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ワイングラスを売っているのにワインの事を分かっていない木村硝子店スタッフO(お酒は大好きです)が、ワインインポーターさんであるアズマコーポレーションのおおたきさんにワインのことを分かりやすく楽しく教えてもらおう!という企画の2回目。

今回は白ワインの基本を学びます。

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代表的な白ワインのブドウ3品種

前回同様に(前回『赤ワインの基本編』の内容はこちら)、世界中のワイン産地で栽培されている代表的な白ワインのブドウ3品種から、仏ワインを飲み比べてみてみます。今回のラインナップはこんな感じの3種類。

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産地:シャブリ/品種:シャルドネ
産地:ロワール/品種:ソーヴィニヨン・ブラン
産地:アルザス/品種:リースリング

前回赤ワインの際には地図を折ったりして産地の場所から味わいの違いにポイントを当てて、動物っぽい/植物っぽい、と分類しましたが、今回の白ワインは香りのイメージから入ります。もちろん今回もおおたきさんの独自(?)の方法となっております。

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シャブリという産地はブルゴーニュの最北に位置します。今回アズマコーポレーションさんにお持ちいただいたワインは、シャルドネという品種のもの。このシャルドネ、“特徴が無いのが特徴”という品種で、気候や土壌の個性を反映しやすく収穫時期や作り方によって味わいに変化が出やすい、いろいろな色に染まれるブドウ品種だそう。

さてグラスに注いで香りを確かめてみると。
「僕の場合白ワインの引き出しは香りを嗅いだ時に想像する色なんです。シャルドネの香り、黄色っぽくないですか?」色といっても“果物から連想する色”を基準にしているそうで、おおたきさんはシャルドネを黄色い果物にたとえています。「シャルドネの基本はレモンなんです。北で育っているシャルドネなので酸味を帯びてるんです。」

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例えばブルゴーニュでも南の方で栽培されているシャルドネだと、黄色のイメージなんだけれど、レモンの感じよりももう少し暖かいところで作られているような果物になってグレープフルーツかな?もっと南にいくとパイナップルのニュアンスになったり。1つ基準があると、そこから比較していってシャルドネの引き出しを整理しやすいんです。

ラベルの絵は生産者の友人でベルギーの絵描きさんによるもの。山の絵はよおく見ると横たわった女性のシルエットです。また樽熟成をせずホウロウのタンクで作られたワインはブドウの味そのままを感じ取れます。

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比べてこちらロワールのソーヴィニヨン・ブランはブドウ品種の特性がはっきりしている品種。香りはシャルドネに比べると少し青味を帯びていて、色にすると緑色によってきています。果物に例えるとライムっぽい感じ。

ブドウの個性がはっきりしているが故に、味わいや香りについての話題がついついブドウ自体の話になってしまって、土地の話にまでなかなか話題が深堀りされないチョットかわいそうな一面も。

こちらのワインの畑には、お父さんが生まれた時に植えられた木が畑の真ん中にあるそうで、ラベル中央の木はその木を描いています。ラベルの物語を想うとよりワインが楽しめそうですね。

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ドイツ国境に接するアルザスではリースリングが栽培されています。アルザスのワインは独特の細長いボトルに詰められているのも特徴です。

リースリングの表現でよく言われるワイン用語に“ペトロール香”というのがあるらしいのですが、これは石油やゴム、接着剤の匂いということらしいです。ちなみにペトロールは油絵なんかを描くときに溶き油として使われる画材。あとは“白い花の香り”という表現もあるのですが、実はこれ、この花!という特定の白い色の花の香りを指すのではなく、“白い花の香り”というイメージの香りを指す表現だそう。お花屋さんに行って探しだそうとしても、おそらく見つかりません。

おおたきさん的捉え方でいくと、白い香り。真ん中に蜜があるけれど酸味も帯びている…果肉の白い、白桃のイメージです。

 

今回のまとめ

代表的な白ワインのブドウ品種3種。フランス北限の産地を基本として飲んでみると、
シャルドネは黄色で、レモン。
ソーヴィニヨン・ブランは緑で、ライム。
リースリングは白で、白桃。

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この3種類の味わいを基準にしておくと、違う種類の白ワインや同じ品種でも他国の白ワインを飲んだ時に、「この香り、黄色っぽい感じだなぁ」と思えば「シャルドネかな?」となったり、例えばオーストラリアで作られている白ワインに出会った時は、「あの時のフランスのシャルドネよりも暖かい黄色い果物の感じなのかなぁ。」と考えたり。1つ覚えると、次にワインに出会うのが楽しみになると思います。
ぜひみなさまお試しあれです。

さあ、次回は10月20日。そろそろボージョレ・ヌーボーの時期ですね!ということで、ボージョレ・ヌーボーとボージョレ地区のワインの事を伺います。
次回もお楽しみに!

<今回のワイン>
シャブリ
コトー・デュ・ジェノワ・ブラン
グラン・クリュ・ゾンマーべリング・リースリング

Tensen

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