1本で楽しみ方いろいろ薬草酒
お酒と料理とグラスと <第3回>
IMADEYAのお酒と、minokamoの料理と、木村硝子店のグラスのコラボ企画。
第三弾の今回は1本の薬草酒(ミントリキュール)を同シリーズのサイズ違いのグラスでいろいろな楽しみ方をしていきます。お酒はIMADEYAの白土暁子さん、合わせるお料理と撮影はminokamoの長尾明子さんです。
夏におすすめ
ミントを使った爽快なリキュール
神奈川県相模原市でイタリア発祥の薬草系苦味リキュール「アマーロ」を作っている伊勢屋酒造のスカーレット メンタアマーロ。白土さんに夏におすすめのお酒を伺ったところ、ちょっと変化球でこちらのお酒を紹介いただきました。
「アマーロ」とはイタリア語で「苦い」という意味。味わいも苦みが特徴で、有名なものだとカンパリがそれに当たります。今回のメンタアマーロは、7種類ものミントに加え様々なボタニカルを使用した複雑味がありつつも爽快なリキュールです。
グラスは筒状の形が特徴のトーストシリーズ。ハンドメイドの極薄グラスで、全8サイズのラインナップとなっています。
リキュールを楽しむポイントの一つに、気分やシチュエーションによって色々な飲み方で味わいを楽しむことが出来るところがあります。さてまずはストレートとロックでそのままを味わってみましょう。
ストレート:トースト 5oz
ロック:トースト 8oz / トースト6oz
ーミントが爽やかですね!苦味も清々しくておいしい〜!甘みも思ったよりもさっぱりしている気がします。
白土「7種類のミントを始め、30種類以上ものボタニカルを使っているので、甘さももちろんあるのですが、それだけではない複雑さや豊かなフレーバーが感じられます。それをしっかりと楽しみたい時はストレートで飲むのがおすすめです。ロックにすると味が締まるので、すっきり飲みたい時にはロックでぜひ。」
ーあ、なんだか胃のあたりがスッキリする。
白土「イタリアでは食前酒や食後酒の文化がありますが、まさにメンタアマーロはぴったりなんです。食事前には食欲を刺激したり、食後では消化を助けたりと、胃がスッキリする感じは薬草酒ならではの効果だと思います。」
minokamo「ストレートやロックは、シンプルにチョコレートやドライフルーツと合わせてお酒を主役に楽しむのが良さそうですね。」
ジンのスパイシーな味わいと
ミントの爽快感の合せワザで
揚げ物にぴったりの一杯に
次はジントニックの"トニック"部分を「炭酸+メンタアマーロ」に置き換えた、シュワッと爽やかな飲み方で。合わせるお料理はアジアな風味香る鶏揚げ!
[スカーレット ジンソーダ]
・スカーレット メンタアマーロ 10ml
・オホロジン 20ml *1
・炭酸 120ml
・氷 適量 お好みで微調整
*1…ジンはバランスの良いタイプであれば何でもOK。
ージントニックって実はトニックが甘すぎるな、と思うことがあるんですがこれは私には丁度良い甘さです。
白土「トニック自体は炭酸水に糖分や果皮やハーブのエキスを加えた清涼飲料水なのですが、このトニック部分を炭酸とメンタアマーロに置き換えることによって、甘みを調整できるのも良い点です。甘み強めが良ければメンタアマーロを多めに。風味付け程度が良ければ少なく、といったふうに。」
minokamo「うっすらグリーンで見た目も爽やかですね!お料理ですが、夏は揚げもの時間を少なくしたいから、いつもの唐揚げより小さくしました。とはいえ揚げるのはやっぱり面倒な時は炒めても美味しいですよ。夏の暑さにはさっぱり胡瓜とレモンとハーブの組み合わせがよく合いますし、メンタアマーロと合わせるとハーブの美味しさがより際立ちます。」
ー揚げ物だけれどもさっぱりした感じがするのは、ドリンクとの組み合わせも効いているのでしょうか。ディルは絶対あったほうが美味しい!
白土「鶏揚げに加えたディルがメンタアマーロと料理を繋いでくれて、より親和性が生まれるからですね。」
minokamo「メンタアマーロはハーブ入り生春巻きや、スイートチリソースの料理など、いろんなエスニック料理とも合いそうです。」
ラム肉とミントは相性抜群
ラムラグーのすいとんとソーダ割
ー昨年、すいとんの本を出されたminokamoさん。今回の打合せの際にすいとん料理を振る舞ってくださったのですが、すいとんのイメージを覆す自由さと美味しさで、今回のお料理にもすいとんをリクエストさせていただきました!
minokamo「書籍レシピのアレンジで、今回はメンタアマーロに合わせたすいとんをご提案しました。ラム肉の風味とメンタアマーロの風味が相乗効果でより美味しくなります。」
白土「お料理でも、ラム肉のローストにミントソースを加えたものや、ラム肉とミントのカレーなどがありますよね。ラム肉とミントは相性抜群なんです。ダイレクトにメンタアマーロの美味しさを楽しめるようにストレートで合わせるのも美味しいのですが、暑い季節はソーダがお勧め。レモン果汁を少し加えると、お酒の味わいがより立体的になります。」
[スカーレット ソーダ]
・スカーレット メンタアマーロ 30ml
・炭酸 60ml
・お好みでレモン果汁
グラスと炭酸は冷蔵庫でよく冷やす。スカーレット メンタアマーロは"冷凍庫"でよく冷やす。アルコール度数が高いので冷凍庫でも凍りません。
ー氷なしで作るのもいいですね。氷が入らないので、小ぶりな5ozのグラスでもちょうどいい。先程のスカーレット ジンソーダよりも、ミントと甘みを感じて、ラムの風味にもお料理のボリューム感にも合います。
minokamo「レシピでは仕上げに紫蘇を使っていますが、ミントやディルなどほかの香草でもとっても合いますよ。手打ちパスタのようなすいとんは、ずっともちもちが続くので、お酒と共にゆっくり味わうことができるのもポイントなんです。」
白土「この組み合わせ、あっという間に平らげちゃいますね。夏バテ防止にもいいかも。」
保管も簡単で
使い方いろいろ
リキュールはお料理と合わせにくいと思われがちですが、飲み方や料理を少し工夫すれば食中にも楽しめます。またワインなどと違って、保管も常温でOK。スカーレットソーダのように冷たいものがお好きでしたら冷凍庫でキンキンに冷やしても。
お料理のほかにデザートにもぴったりで、チョコレートと合わせたり、直接バニラアイスに掛けたりと、味わいが強いからこそ多様な楽しみ方ができるので、ぜひ!この夏一家に1本いかがでしょうか。
【今回のお酒とグラス】
伊勢屋酒造
SCARLET MENTA AMARO
スカーレット メンタアマーロ
夏にお勧めの、ミントを使った爽快なリキュール。
ブラックペパーミント、スペアミント、イエルバブエナ、ヤグルマハッカ、和薄荷、ペパーミント、アップルミントと7種類ものミントに加え、ニガヨモギやフェンネル、ラベンダーなどのボタニカルを使用。ミントが前面に香るのではなく、ミントの爽快感を生かしながらも他のボタニカルときれいに調和し、特にフローラルな香りとミントの香りが相性が良く、余韻にも心地よく続きます。
ストレートで、ソーダ割で、ジンソーダに少し加えて、グレープフルーツジュースで割って、ご家庭でも様々なシチュエーションで楽しめます。
※写真のボトルは去年リリースされたもので、本年のものと若干異なります。
左から、トースト 6oz、トースト 5oz、トースト 14oz
【今回の料理】
ナンプラー風味の鶏揚げ 2〜3人分
[唐揚げ]
・鶏もも肉 1枚
・ナンプラー 大さじ1と1/2
・塩 少々
・米粉 大さじ3(片栗粉でも可)
・水 小さじ2
[付け合わせ]
・きゅうり 1本
・玉ねぎ 1/4個
・塩 2つまみ
・レモン 1/2個
・ディル 適量
1)鶏もも肉は一口小サイズにカットする。ナンプラーと塩を混ぜておく。きゅうりは薄く輪切り、玉ねぎはスライスし、ボウルに入れて塩を混ぜ使用するまで置いておく。
2)1の鶏肉に米粉と水を混ぜ、フライパンに高さ2cmほどの植物油(分量外)を入れて、鶏肉を入れ両面揚げ、器に盛り付ける。
3)1のきゅうりと玉ねぎの水分を手でぎゅっと絞り、お肉に添え、仕上げにレモン汁とディルをかけたら出来上がり。
ラムラグーのすいとん(手打ちパスタ) 2人分
ラム肉(焼き肉用、ひき肉でも) 150g
玉ねぎ 1/4個
トマト(中)1/2個
にんにく 1片
塩 小さじ 3/4
醤油 小さじ1
クミンシード 小さじ1
植物油 大さじ1
唐辛子 1本
紫蘇 4枚(ディルやミントでも可)
水 200cc
すいとん(パスタ)生地
薄力粉 100g
水 50cc
1)すいとん生地を作る。薄力粉と水をボールに入れひとまとまりになるまでこねたら、使用するまで寝かしておく。
2)ラム肉はスライス肉なら荒いみじん切に、玉ねぎはスライス、トマトは2cm角にカット、にんにくはみじん切にする。
3)フライパンに植物油、クミンシード、にんにくを入れて中火で熱し、じわじわしてきたら玉ねぎとラム肉、醤油、塩を入れ強火で炒め、水(200 cc)を入れたら弱火にし、1のすいとん生地をちぎって入れる。全て入れたらトマトも入れ、時々混ぜながら強火で煮る。水分がひたひたになったら火を止めて器に盛り付ける。仕上げにちぎった青紫蘇をのせて出来上がり。
【プロフィール】
minokamo(ミノカモ)
料理家・写真家。岐阜県美濃加茂市出身、東京と岐阜が活動拠点。祖母との料理経験が料理活動のきっかけで、地の食材を活かした料理提案、郷土料理の紹介にも力を入れ、食卓が豊かになる器使いも各媒体で提案。日常いただくお酒も、料理やシチュエーションによりグラスの使い分けを楽しみ中。近著に「粉100水50でつくるすいとん」(COMODOライフブック)
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白土暁子(シラトアキコ)
千葉の酒屋「IMADEYA」にて、イベント企画やワインのバイヤー、飲食店営業などを担当。普段から飲食店の方にもお酒とそれに合う器の提案をしている。月に一度は国内の造り手を訪ねたり、様々な地域のレストランに行ったりと各地に足を運び、どこにでもいるとよく言われる。
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IMADEYA白土暁子さん、minokamo長尾明子さんは、「あきこ」仲間として、美味しい発見を求め国内外旅をしたり、食、お酒を楽しむ会を各所で開催することもあり。